本記事の料金・機能情報は 2026年5月時点 のものです。Slack の料金プランは変更される場合があります。契約前に必ず 公式サイト(slack.com/pricing) でご確認ください。為替換算を行う場合は 1ドル=155円 を目安として使用しています(実際の請求額は変動します)。
Slack の導入を検討しているが、プランが多くてどれを選べばいいかわからない。フリープランで十分なのか、それともビジネスプラスまで上げるべきか。特に「SAML SSO」「監査ログ」「AI機能」といった機能がどのプランから使えるのかは、ビジネス利用では重要な判断ポイントです。
この記事では、Slack の4つの料金プランを2026年5月時点の情報で徹底比較します。加えて、IT業種・全社3,000人規模の企業でエンジニア部署400人に先行導入した実例を公開します。月76.8万円(概算)の費用をかけてビジネスプラスを選んだ具体的な理由と、選定過程で直面した課題をお伝えします。
Slack 料金プランの全体像(2026年5月)
Slack には現在、以下の4つのプランがあります。
| プラン | 月額(月払い) | 月額(年払い) | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| フリー | $0 | $0 | 試用・超小規模チーム |
| プロ | $8.75/人 | $7.25/人 | 数十人規模の小〜中規模チーム |
| ビジネスプラス | $18/人 | $15/人 | コンプライアンス・SSO・AI活用が必要な企業 |
| Enterprise+ | 要問合せ | 要問合せ | 大企業・複数組織を横断した管理が必要な環境 |
年払いにすると月払いより20〜30%程度割安になります。特に100人以上の規模で導入する場合、年払いの差額は無視できない額になるため、ある程度の継続利用が見込めるなら年払いを選ぶのが基本です。
2025年6月のプラン改定:何が変わったか
Slack は 2025年6月にプラン体系を大幅に刷新しました。この改定を理解していないと、ネット上の古い情報と現状が食い違って混乱する原因になります。主な変更点を整理します。
| 変更点 | 改定前 | 改定後(2025年6月〜) |
|---|---|---|
| ビジネスプラスの料金 | 年払い $12.50/人/月 | 年払い $15/人/月(+20%) |
| エンタープライズプラン名称 | Enterprise Grid | Enterprise+ |
| AI機能の提供範囲 | 別途アドオン | ビジネスプラス以上に標準搭載 |
| 既存契約者の移行 | — | 2025年8月17日以降の更新タイミングで自動移行 |
この改定で最も重要な変化は、AI機能がビジネスプラスに標準搭載されたことです。Slackbot の強化、AIによるワークフロー生成、AI検索、会話の要約(毎日のまとめ)などがビジネスプラス以上であれば追加費用なく利用できるようになりました。
一方でビジネスプラスの価格が値上がりしたため、「以前はプロで足りていたが機能が欲しくなった」というチームには判断が難しくなっています。AI機能の価値をどう評価するかがプラン選択の鍵になります。
2025年6月以前からビジネスプラスを契約していた場合、2025年8月17日以降の更新タイミングで新プランに自動移行されます。更新日に合わせて新料金が適用されるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
各プランの詳細
Slack を試してみたい、または少人数のプロジェクトで使う場合の入口プランです。ただし、いくつかの制約が実務利用を難しくします。
- メッセージ履歴が過去90日分のみ参照可能(それ以前は閲覧不可)
- 連携できる外部アプリは最大10個まで
- 1対1のビデオ通話は可能だが、グループでのビデオ通話は制限あり
- ゲストユーザー(社外メンバー)の招待は不可
- SAML SSO・監査ログ・AI機能などのビジネス機能はすべて非対応
過去のメッセージが消えていく制約は、実務で使い始めると想定以上に不便に感じます。情報の蓄積を重視するなら、早めに有料プランへの移行を検討するべきです。
フリープランの主な制約を解消した、最もベーシックな有料プランです。小〜中規模のチームでSlackの基本機能を十分に活用できます。
- メッセージ履歴が無制限(全期間参照可能)
- 外部アプリ連携が無制限
- グループビデオ通話(最大50人)・画面共有対応
- ゲストユーザー招待が可能
- SAML SSO・監査ログは非対応
- AI機能は非対応(ビジネスプラス以上)
- SLA保証なし
シングルサインオン(SSO)が不要で、AI機能も今は使わないという場合、プロで十分なケースが多いです。コストパフォーマンスが最も高いプランです。
2025年6月の改定でAI機能が加わり、エンタープライズ手前のプランとして機能が充実しました。「プロで足りなくなったが Enterprise+ は大げさ」という規模感の企業に向いています。
- プロプランの全機能を含む
- SAML SSO(シングルサインオン)対応 ← プロとの最大の差異
- メッセージのコンプライアンスエクスポート(全メッセージのエクスポート)
- Slack AI 機能: AI検索、会話の要約、ワークフロー生成、毎日のまとめ
- アップタイム保証 99.99% SLA
- サポート: 24時間365日対応
- 監査ログは非対応(Enterprise+ のみ)
SAML SSO の有無がプロとビジネスプラスを分ける最大のポイントです。社内の ID 管理(Microsoft Entra ID、Okta、Google Workspace など)と統合したい場合はビジネスプラス以上が必須になります。
旧「Enterprise Grid」から名称変更された最上位プランです。複数のワークスペースをまたいだ一元管理や、厳格なセキュリティ・コンプライアンス要件を持つ組織向けです。
- ビジネスプラスの全機能を含む
- 監査ログ: 誰がいつ何をしたかの完全な記録
- データ損失防止(DLP)ポリシーの設定
- 複数ワークスペースの一元管理(組織をまたいだチャンネル共有)
- SCIM によるユーザープロビジョニング自動化
- 専任のカスタマーサクセスマネージャー
- エンタープライズキー管理(暗号化キーの自社管理)
導入コストは企業規模・人数によって個別交渉になります。監査ログが法令やセキュリティポリシー上必須であれば Enterprise+ を選ぶしかありませんが、そうでない場合はビジネスプラスで大半のニーズはカバーできます。
全プラン機能比較表
| 機能 | フリー | プロ | ビジネスプラス | Enterprise+ |
|---|---|---|---|---|
| メッセージ履歴 | 90日 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| 外部アプリ連携 | 最大10個 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| ゲスト招待 | × | ○ | ○ | ○ |
| グループビデオ通話 | 制限あり | ○ | ○ | ○ |
| SAML SSO | × | × | ○ | ○ |
| メッセージエクスポート | × | × | ○ | ○ |
| Slack AI 機能 | × | × | ○ | ○ |
| 99.99% SLA | × | × | ○ | ○ |
| 24/7 サポート | × | × | ○ | ○(専任) |
| 監査ログ | × | × | × | ○ |
| DLP / SCIM | × | × | × | ○ |
| 複数ワークスペース管理 | × | × | × | ○ |
※ 機能の詳細・制限事項は公式サイトで確認してください。2026年5月時点の情報をもとに作成しています。
【実例】IT企業エンジニア部署400人でビジネスプラスを選んだ理由
当社プロフィール
- 業種: IT・ソフトウェア
- 全社規模: 約3,000人
- 先行導入部署: エンジニア部署(約400人)
- 導入開始: 2026年4月
- 選択プラン: ビジネスプラス(年払い)
前提:全社チャットはGoogle Chat
当社の全社コミュニケーションツールはすでに Google Chat が標準で導入されています。「既存ツールがあるのに、なぜ別ツールを部署で使うのか」という社内調整から始まる必要があり、これが導入プロセスの最初の関門でした。この社内調整の詳細については別記事で公開予定です。
IT企業のエンジニア職に限れば、Slack はデファクトスタンダードに近い位置づけです。外部のパートナー企業・OSS コミュニティとの連携が Slack 前提のケースが多く、業務効率上の必要性は十分にありました。
選定の決め手:SAML SSO への対応
プラン選定において最大の決め手となったのが SAML SSO(シングルサインオン)への対応です。当社では Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)による ID 管理を行っており、新しく導入するツールはこれに統合することがセキュリティポリシー上の原則になっています。
SAML SSO は Slack では ビジネスプラス以上からの対応です。プロプランでは対応していないため、SSO 統合を前提とする場合はプロを選ぶ選択肢がそもそも存在しませんでした。
SSO 統合にはセキュリティ上の明確なメリットがあります。
- 退職・異動時のアカウント停止を ID 管理側から一元操作できる(Slack 側の操作が不要)
- パスワードの個別管理が不要になり、フィッシング・不正アクセスリスクが下がる
- MFA(多要素認証)を既存の ID 管理ポリシーと統一できる
400人規模の部署で SSO なしに運用することは、入退社のたびに Slack 側のアカウント管理を別途行う必要が生じ、情シス側の運用コストが大きくなります。SAML SSO はビジネスプラスを選ぶ実質的な必須条件でした。
悩んだポイント:監査ログが Enterprise+ のみ
選定過程で最も議論になったのが 監査ログの扱いです。監査ログは「誰がいつどのチャンネルに投稿したか」「ファイルをダウンロードしたか」といったユーザー行動の完全な記録を残す機能で、Slack では Enterprise+ のみの対応です。
セキュリティ部門からは「監査ログがないなら Enterprise+ にすべきでは」という意見が上がりました。一方で、Enterprise+ は金額が非公開で営業交渉が必要であり、コスト・導入スピードの両面でビジネスプラスとは大きく異なります。
社内検討の結果、以下の判断に至りました。
- 現フェーズはエンジニア部署の先行導入であり、扱うデータの機密性レベルが比較的低い
- Google Chat との共存期間中は Slack で極めて機密性の高い情報をやりとりする運用にはしない
- 将来的に全社展開を検討する段階になれば、その時点で Enterprise+ に移行する判断を改めて行う
「今必要な機能」と「将来必要になりうる機能」を切り分けて判断したことで、現フェーズではビジネスプラスを選択しました。監査ログが実際に必要かどうかは、扱う情報の種類・コンプライアンス要件・社内ポリシーによって異なります。自社の状況を法務・セキュリティ部門と確認の上で判断することをおすすめします。
費用感:月76.8万円(概算)の内訳
当社の場合、ビジネスプラス年払いで 1,920円/人/月 × 400人 ≒ 月76.8万円(概算)の費用感になっています。これは年払いベースの月換算額であり、実際には年間でまとめて支払います(年間約921万円・概算)。
費用対効果の試算については、「Slack 導入により削減できる工数」「外部ツール連携による自動化メリット」「採用・リテンションへの効果」を軸に整理しました。エンジニア職の場合、Slack との親和性がツール慣れにもつながるため、一概に金額だけで判断できない側面もあります。詳細な費用対効果の試算プロセスについては別記事で公開予定です。
導入の後押しになった要因
費用面のハードルはありつつも、以下の要因が導入判断の後押しになりました。
豊富なアプリ連携
Slack のアプリディレクトリには2,000以上の連携アプリがあります。GitHub・Jira・Confluence・PagerDuty・Datadog など、エンジニアが日常的に使うツールの多くが Slack に通知・操作を統合できます。Google Chat にも連携はありますが、エンジニア向けツールの連携品質・設定の柔軟性では Slack が一歩先行していると判断しました。
AIツールとの親和性
Claude・ChatGPT などの生成 AI ツールを業務で活用するケースが増えている中で、Slack との統合は比較的容易に構築できます。Slack 上でボットとして AI を呼び出したり、AI がチャンネルの通知を受け取って処理するワークフローを作ったりと、エンジニア部署の業務自動化との相性が高いと評価しました。
なお、AI を活用する際のテキスト処理として、Markdown ↔ Slack mrkdwn 変換ツールも活用しています。AI が出力した Markdown を Slack 向けの書式に変換する用途です。Slack の書式記法(mrkdwn)については Slack mrkdwn 記法完全ガイドも参考にしてください。
Slack 自体の AI 機能
2025年6月の改定によりビジネスプラスに AI 機能が標準搭載されました。AI 検索、チャンネルの要約、ワークフロー生成などが追加費用なく使えます。これらの機能が実務でどれだけ効果的かは、まだ利用開始したばかりのため検証中です。効果については運用後レビュー記事で詳しく報告します。
プラン別:こんな組織に向いている
| プラン | 向いている組織・状況 |
|---|---|
| フリー | Slack を試したい・10人以下の小規模プロジェクト・予算がまったく取れない。ただし業務の中心に据えるには制約が大きすぎる |
| プロ | SSO 不要・コンプライアンス要件が軽い・数十人規模のスタートアップや中小企業。コスパ最重視ならまずここから |
| ビジネスプラス | 社内 ID 管理(Okta・Entra ID 等)との SSO 統合が必要・AI 機能を活用したい・メッセージエクスポートが必要・SLA が必要な企業 |
| Enterprise+ | 監査ログが法令・社内ポリシーで必須・複数ワークスペースの一元管理が必要・全社数千〜数万人規模での展開を想定 |
フリー → プロ、プロ → ビジネスプラスの「移行タイミング」
フリー → プロへの移行タイミング
90日を超える過去のメッセージが業務上必要になったとき、または連携アプリが10個の上限に近づいたタイミングが移行のサインです。チームが10〜20人を超えて本格的に Slack を使い始めるなら、フリープランは早めに卒業することをおすすめします。
プロ → ビジネスプラスへの移行タイミング
以下のいずれかに該当すれば、ビジネスプラスへの移行を検討するタイミングです。
- セキュリティポリシー上、SAML SSO の統合が必要になった
- 人事・法務からメッセージのエクスポート・保存の要件が出てきた
- Slack の AI 機能(要約・AI 検索)を業務で活用したい
- 規模が拡大し、99.99% SLA や 24/7 サポートが必要になった
逆に言えば、これらが不要なうちはプロで十分です。価格差(年払いで $7.25 → $15)は大きいため、「とりあえずビジネスプラスにしておこう」ではなく、必要になったタイミングでアップグレードするのが合理的です。
よくある疑問
Q. 大企業でも一部署だけ Slack を導入できるか?
技術的には可能です。Slack のワークスペースは会社全体ではなく、任意の単位(部署・プロジェクト・子会社など)で作成できます。当社もエンジニア部署400人のみで先行導入しています。ただし、社内の情報セキュリティポリシーや調達ルールとの整合を確認する必要があります。特に、社内 ID 管理との連携(SSO)やデータの取り扱いについて、情シス・セキュリティ部門との調整が必要になるケースがほとんどです。
Q. Slack の日本語サポートは?
Slack のアプリ UI は日本語に対応しています。サポートについては、ビジネスプラス以上で 24/7 サポートが利用できますが、日本語専任サポートの提供範囲については公式サイトまたは営業担当に確認することをおすすめします。
Q. Enterprise+ の料金の目安は?
Enterprise+ は公開価格が設定されておらず、Slack 営業との個別交渉になります。規模・オプション・契約期間によって金額が異なるため、目安として公開できる情報はありません。公式サイトのお問い合わせフォームから見積もり依頼を行うのが確実です。
まとめ
Slack の料金プランを選ぶ際の判断フローをまとめます。
- SAML SSO が必要か? → 必要なら ビジネスプラス以上が必須
- 監査ログが必要か? → 必要なら Enterprise+ のみ対応
- AI機能(要約・AI検索)を使いたいか? → ビジネスプラス以上に標準搭載(2025年6月〜)
- メッセージ履歴の無制限参照が必要か? → プロ以上が必要
- 上記がすべて不要なら → フリーまたはプロで十分
当社(IT企業・エンジニア部署400人)の場合、SAML SSO が必須要件であったためビジネスプラスを選択しました。監査ログについては現フェーズでは不要と判断し、将来の全社展開時に改めて Enterprise+ への移行を検討する方針です。
利用開始はまだ2026年4月であり、運用の実態・AI 機能の効果・実際の業務改善については現時点では評価できません。数ヶ月の運用を経て、実際に使ってみてわかったことを別記事で報告します。